
フライトエリアの地勢
渡良瀬エリアは渡良瀬遊水地を中心に、茨城、栃木、群馬、埼玉の4県にまたがっており、日本最大の平野である関東平野を舞台としたフライトエリアである。エリア北側には男体山(標高2486m)や女峰山(標高2483m)をはじめとする日光連山があり、その南側には足尾山地が位置している。エリア北西側には三国山脈、西側には関東山脈があり、南〜南東側は関東平野が広がる。
エリア北東部の宇都宮市、北西部の前橋市はいずれも内陸性の気候で、夜間晴れた風の弱い日は放射冷却の影響を受け冷え込みやすい。一方、日中は気温が上昇しやすく、気温の日較差が大きいことが特徴である。


(左図)

(右図)


フライトエリア周辺の観測点
図中のハートマークはウィンドプロファイラ(WPR)及びラジオゾンデ観測地点、星マークは気象台及び特別地域気象観測所、緑旗マークは主要アメダスの所在地を示している。
※ハートマークの観測点はいずれも気象台であり、WPR以外にも様々な観測を実施している。

地形風の特徴(午前)
夜間晴れた風の弱い日は内陸ほど放射冷却の影響を受け冷え込むため、渡良瀬遊水地(CLP)付近はNE〜NW風のドレインの影響を受ける(一般的に内陸の冷え込みが強い方がドレインも強い)。CLP付近で合流し、シアーとなることも多く、この場合はCLP付近の風は変わりやすくなる。
寒気移流時のおろし風に注意!


地形風の特徴(午後)
太平洋や相模湾からの海風が関東平野を通って流入した場合、山風との合流部分にシアーが形成される。シアー部分は対流活動が活発で、風も乱れやすいため要注意。
冬季の西高東低の気圧配置の時のように寒気移流の場の時は、渡良瀬エリアの西側を中心にNW〜WNW風が強まることがある。これは三国山脈を越えた気流が、前橋・伊勢崎・熊谷方面に吹き下ろすためであり、「赤城おろし」「榛名おろし」等とも呼ばれる。地表面に吹き下りた強風は跳ね返り、ハイドロリックジャンプ(跳水)現象によって上空に吹き上がって、さらに風下側へ吹き降りていく(詳細は学習資料を参照)。
このような気象状況の時、渡良瀬エリアの北東側(栃木市や小山市)は周辺に比べて弱風となる場合があるが、着陸予定地がおろし風の影響を受けていないかを念入りに確認すべきである。